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このページでは、少し趣向を変えて西洋美術のお勉強とをしましょう。
今回勉強するのは『受胎告知』。
聖母子像と並び、宗教画の代名詞と言える作品です。
『受胎告知』の絵画の決まりごとを学び、絵画の楽しみ方を勉強していきましょう。
レオナルド・ダ・ヴィンチ 作↓

誰でも知ってる世紀の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチの受胎告知です。
一度は目にしたことがある絵ではないでしょうか?
左に天使ガブリエル、右に聖母マリアが並ぶ構図です。
場面は処女厨歓喜の)マリアに対して、
ガブリエルが「あんた妊娠してるでー」と告げに来る場面です。
では、他の画家の作品も見てみましょう。
ボッティチェリ 作↓

ビーナスの誕生でお馴染みの画家による作品です。
やはり構図としてはほぼ同じような構図になっています。
パクリ?
ではなく、実は多くの宗教画には描く際に『決まりごと』があります。
今回は、その決まりごとを探しながら絵を楽しむ方法を勉強していきましょう。
決まりごとを探すには、出来る限りサンプルが多いほうがいいのでもう一点紹介。
ファン・エイク 作↓

自分が一番好きな受胎告知になります。
今回はこのファンエイクの作品を見ながら決まりごとを見ていきましょう。
まず、構図です。
すでに3点見て頂いたのでわかるように、
左にガブリエル、右にマリア
この構図は絶対になります。
また、マリアの服装に注目すると、これも必ず赤と青の服を着ています。
赤は「神聖な愛」、青は「天の真実」を現わしており、色のみでマリアの性質を現わしています。
同じように様々な小物が、この場面とマリアの性質を表すために様々ちりばめられています。
受胎告知の絵画の楽しみ方は、
・散りばめられた小物を探す
・各画家が、どのように決まりごとを入れつつ遊んでいるか
その2点を探すのが楽しいです。
(ここで予めお断り。
自分は宗教とかまったく知りませんし、まったく興味がありません。
宗教画は決まりごとを探すのを楽しむために観ています。 勧誘お断り!)
1、聖書を探す。
マリアの知性を表すアイテムとして、聖書があります。
その聖書は、ただそこに置いているのではなく、読みかけであることで、リアルタイムのマリアの知性を表します。

ありますねー聖書。みんな読みかけです。
知性バリバリですね。
2、百合の花
純潔を表す百合の花。
これがさりげなく置かれています。
さらに画家によっては、百合の花のおしべをあえて描かないことで、さらに純潔を強く表現しています。

ユリユリですわ。
3、アドリブのお告げや精霊
そして、最後にアドリブが効くような決まりごとが、
神の意志、差し込む光、精霊の鳩、ガブリエルの言葉… 等になります。
ここが作者達の魅せどころになります。
今回は、ファンエイクに焦点を絞って見てみましょう。

見えますねー。
左上から降り注ぐ神の意志である光と鳩。
そして、この画像では見えにくいですが、お互いの口から吹き出しが出ているのが見えますでしょうか?
ガ「あんた妊娠してんでー」
マ「まじっすか?」
みたいな会話してるんですが、
ガブリエルは「AVE MARIA〜・・・うんたら」ってしゃべっています。
アベマリア。なんか聞いたことありますね。
これ、実は、逆にすると AIRAM EVA
EVAと逆のMARIAって意味になってます。
「EVAと正反対で、あんたマジ聖母だよ」って意味でアベマリア。
言葉遊びっすね。
さらに床を見ると…

この床の模様、黄道十二宮が描かれており、マリアは服で隠れて見えないが
「乙女座」の上に立つように配置されています。
にくい演出ですね。
では、この辺を踏まえたうえで、他の画家の作品を見ていきましょう。
フラ・アンジェリコ 作

受胎告知と言えばこの人。 すべて詰め込まれていますw
鳩の左上には、なんかおっさんが見えてるし、左端には楽園追放されてるカップルが見えるし…
上記した決まりごと&作者の遊びを探すには最も適した1枚です。
続いて、世界一有名なあの方の作品の場合を一気に見ていきましょう。
ダ・ツゥイ 作

「やよい」

「たまき」
聖母を描かせたら彼の右に出るものはいないと言われた男の、全盛期の作品です。
俗に言う「桃の時代」の作品です。
桃色の淡いタッチを主体に、
ガブリエルのお告げを彷彿とさせる「吹き出し」をさりげなく混ぜてくる粋な演出。
中世〜現代アートの根源となった彼の魂が伝わってきます。
また、彼は教会のフラスコ画のような連作も晩期に描かれています。
伴侶であったコ・ナツゥーリとの別れの際に、
彼女が生前に苦しめられていたというジュリ対策をモチーフにキャンバスに向かったという伝記が残されています。





彼の作品の多くは、ルールーブルブルブルブル美術館に収蔵されていますので、
一度足を運んでみられてはいかがでしょうか?
ごめんなさい…
